※これはフィクションです。実際の人物・事件・団体とは関係ありません。
タイトルなし。想像していたより小さな8畳間。ずっと親元で暮らしていた僕はついに、自立することになった。
引越しのとき、僕は大粒の涙を流した。ママ、ママ。
40で初めての自立、就職。家はまるで刑務所みたいだった。光のない暗闇で、ずっとネットサーフィンしながら、親父とは仲が悪く、俺はずっと部屋に引きこもっていた。
なぜゴミを出せないか?
それはなぜキッチンへの一歩を踏み出せないか、と似ている、心理的ハードル。
親父は市役所の職員をやっていた。っていっても、理不尽な客(なぜか最近お客様になった?)にペコペコ謝る役。ほら、みんな相手をみるじゃん。
そしてそのストレスを家で捌け口にして、俺や妹のミキを捌け口にして、俺は心を閉した。
ミキは大久保で立ちんぼをしている。No. 1ホストのRYUYAに夢中だっていってた。
汚い親父に抱かれて、不快な時間を我慢して、その後で、その金で、大好きな人に会う。
後半のくだりだけだと小説みたいに美しいが、はっきりいってバカだ。
俺だって女だったらそうなっていたかもしれない、だって本当に地獄なんだから。
地獄だってことは自己イメージが満たされないってことだ、
自分という自我を構成している殻があるとしたら、その殻が壊れているってことだろ。
「これから、1人でやっていけるわね」
ママ・・・
俺は今年70になるママの膝に、180になる巨体の頭をうずめた
「んまま・・・ぼくね・・・」
時間は経過した、でも時間が経過しただけなんだ。
俺は、まだ子供のままなんだよ。
俺は、まだ子供のままでいたいよ。
体が古くなり、世間や第三者的にみればそれなりの立場になっていなきゃいけない俺。
40歳の俺。
そんな俺が、道であるく女子中学生をずっと目で追っていた。
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「あ、ここね、お前の席」
「はい・・・」
不服そうだなこいつ。なんで採用したんだろう。
うちの会社は5名ほどで運営している塾だった。5名っていうのは社長が親父で、俺と真治、姉のゆうみとその友人の飛鳥で、ほぼ同族経営の合同会社だった。
そこに、大学生のバイトとかを応募してまわしていた。
で、応募にきた40歳のおっさんで苗字は鈴木、鈴木拓也、京都大学医学部卒で一時順天堂に勤務していたが適応障害を発症、その後ずっと引きこもっていたらしい。
学歴は申し分ない。
あと、人員も不足していた。
髭をそってなくてホームレスみたいだったが、高身長で顔も結構みれる(綾野剛に近い・・・?)のでゆうみと飛鳥が「ダイヤの原石」って目を輝かせていた。
おいおいおい。
どう考えたってこいつやべえぞ、生気がない、会話していても覇気がないし思い込みが激しそう、この手のやつが面倒・・・というかときにトラブルの原因になることは俺は「予知」していた。
「ただでさえうち人手不足なのに選り好みしてんの?京大医学部でしょ?それだけでうちの塾にプラスじゃん」
声が踊っている。勘弁してくれよ。
7時から、授業がはじまる。
俺は鈴木に俺の英語の授業に同行するよう求めた。
「じゃあ点呼をとりまーす」
そのとき、中原はるみと鈴木の目が一瞬あった。
中原、非常にフレンドリーなやつ。人をみくびらず、親に愛されてそだった非常にいい子。
「こんにちは」
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嫌な予感は当たった。
「中原さんが、俺のこと好きになったみたいなんです・・・・!」
鈴木!
(続く?わからん)